演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
「気をつけて」

「はい、社長さんも」

カフェの入り口で、彼女は笑顔を見せた。

くったくのない、そのままの笑顔。

本当はこのまま放したくなかった。

でも、それじゃあ彼女に迷惑がかかる。

「撮影の日、お邪魔していいですか?」

彼女はきょとんとしている。

「あっ、もしかして迷惑?」

「いえ、そんな事はないです」

彼女は慌てて否定した。

「お忙しくないんですか?」

「それくらい時間作りますよ」

彼女は嬉しそうに笑った。

どうやら俺は彼女の笑顔を気に入ったらしい。

「では、後日」

「ええ、楽しみにしています」

そして彼女は背を向けて去って行った。

ああ、今日は何ていい日なんだろう。
< 10 / 75 >

この作品をシェア

pagetop