演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
珈琲を飲み終えると、俺は立ち上がった。

「また会えて嬉しかったです」

「こちらこそ」

彼女も立ち上がった。

その時、彼女の瞳が近くにあった。

背が高いな。そう思って足元を見ると、高いヒールを履いている。

なるほど。背を高く見せているのか。

俺も背は高い方だが、ここまで顔が近い女性はまずいない。

元々の背も高いのだろう。

俺の世界にはいない女性だ。

「どうしました?」

「いえ……」

俺は彼女からトレーを預かって、返却口に返した。

「ありがとうございます」

彼女は丁寧に頭を下げた。

優しくされる事には慣れているだろうに。

彼女の印象が変わった。

「もう帰るんですか?」

「ええ、今日はもう仕事がないので」

もっと彼女を知りたい。

そう思ったのは、どうしてだろう。
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