演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算

第2章:打ち上げ

時間を潰している間、俺は引き続き伊藤萌奈の仕事振りを見ていた。

今度は90秒程のCMを作っている。

さっきのターンも、また軽やかに決め、彼女はまるで俺の会社で働いているように振舞った。

もし彼女のような社員がいたら。

毎日誰かが飲みに誘うだろうな。

きっと女子社員は、それに嫉妬して彼女を無視するだろう。

それを俺は放っておけるのだろうか。

「はぁー……」

ありもしない設定で、ため息をつくなんて。

俺は何をやっているのだろう。

「休憩、入ります」

スタッフから声がかかった。

ふと伊藤萌奈と目が合う。

思わず手を挙げてしまった。

彼女は嬉しそうに、俺の元へやってくる。

「槙田社長、どうでした?」

「ああ、うん。良かったと思います」

「本当ですか?ちゃんと見てました?」

くったくのない笑顔。

騙されちゃいけない。

この笑顔は、俺だけの笑顔じゃない。
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