演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
「社長さんは、芸能人でいうと誰がタイプですか?」

正面に座っているスタッフが、声をかけてきた。

「これと言った人はいませんよ。でも、カッコいいクールな女性が好きです」

「それだったら、伊藤萌奈でしょ」

そう言われ、彼女は初めて俺の顔を見た。

「今クールでカッコいい女性と言ったら、伊藤萌奈ですよ」

更に薦めてくるスタッフ。

「なるほど。じゃあ、彼女のファンになろうかな」

そこで俺は更に彼女の手を握った。

「あら、嬉しい。ファンだって言われたのは、初めてです」

「まさか、言われ慣れてるでしょうに」

何気ない会話。

でも周りが気付かない場所で、俺は伊藤萌奈と手を握っている。

彼女はそれを嫌がっていない。

むしろ嬉しそうにしている。

それが何よりも、俺に優越感を与えていた。

しばらくして、店の向こう側から一人の男性が近づいてきた。

「あれ?もしかして、萌奈ちゃん?」
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