演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
その声に、伊藤萌奈はハッとした。

直ぐに握った手がほどける。

「明人君、久しぶり」

彼女は立ち上がると、その男性の方に近づいた。

彼の顔は誰もが知る顔だった。

人気俳優の遠藤明人だ。

彼の出る作品は軒並みヒットし、遠藤明人の作品は間違いないと言われている。

「同じ店だったんだ」

「ええ、撮影の打ち上げで」

「何の撮影?」

「CMよ。槙田社長の会社の」

彼女がこちらを向いた。

「こんにちは」

彼が俺に向かって挨拶をする。

「初めまして。槙田と言います」

立ったままでは失礼かと思い、俺も立ち上がる。

「いつもドラマ、拝見していますよ。あなたの出るドラマは大変面白い」

「ありがとうございます。光栄だな」

さすがは人気俳優。

第一印象も柔らかくて爽やかだ。

見られていることを意識しているのだろう。

すると遠藤明人は、彼女と話始めた。

「萌奈ちゃん、今度のドラマ受ける?」

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