演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
彼女は自分から、お礼を言ってきた。

「御社のイメージアップに貢献できるよう、精一杯務めさせていただきます」

意外だった。

もっと自由な人だと思っていたから、こんなしっかりした挨拶ができるとは思っていなかった。

「こちらこそ、出演を受けていただき嬉しく思っております」

「ありがとうございます」

まるで売れている営業マンみたいな会話だった。

その滑らかなやりとりに、思わず心を奪われてしまった。

「社長、社長!」

「え?」

お茶を出してくれた横田さんが、俺を呼ぶ。

「相手を見過ぎです。伊藤さん、困ってらっしゃいますよ」

「あ、すみません」

謝ると彼女は、うふふと口元に手を当て笑顔をたたえた。

その笑顔にまた心を奪われる。

整った顔立ちはとにかくいいんだ。

問題は、彼女から仄かに香る色気だ。
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