余所者-よそもの-
私は拳を振りかぶる彼の肩に、震える手をそっと置いた。
すると電気が走ったみたいにこちらを向き、腕の付け根を殴られた。
「死にてぇみたいだな?」
回転するように後ろに飛んだ私を追って、目の前で凄む。
彼の瞳にきっと私は映っていない。
ズキズキと、額の傷が疼いた。
これは飛ばされた衝撃か、それともさっき多夜に刺激されたせいか。
何せ、何がなんだかもうわからなかった。
帰りたい。
AnBarに、帰りたい。
帰してくれるって、言ったじゃないか。
「――…シド」
紫藤怜の拳が飛んでくる。
顔面だ。
これは顔面にくる。
スローモーションみたいにして見ていた。
迫ってくる拳に、ああ、なんかちょっと懐かしいな、なんて思った。
歯を食いしばった。
――…来る。