余所者-よそもの-
けれど、その痛みはいつまで経っても来なかった。
「なんで避けねぇんだ」
「…避けてもどうせ殴られるし」
「逃げろよ」
「当たり所が悪くなる」
殴らないなら、私はもうこの人を…シドを、見れない。
恐ろしくて、恐ろしくて、顔なんて上げられない。
「後、任せる」
そうどこかに向かってボヤくと、誰かが「紫藤さん?」と釈然としない声で呼び止めていた。
「退け」
ざわざわと騒がしいギャラリー。
それでも、シドの一声に一斉に道を開けていく。
「ついてこい」
そう言ったのは、誰に対して?
もし私に言ったんだとしたらもう無理。
膝が震えて、動けない。