余所者-よそもの-
去っていくシドの背中を見ていると、後ろから肩を掴まれた。
「お前、だれだ」
そこには少女が居た。
中学生くらいだろうか。
一つくくりにした黒い髪に、化粧っけのない顔。
首からぶら下げた大きなカメラが印象的。
焦っているのか、怒っているのか。
どっちとも取れる顔つきを向けたかと思うと、何かをため込むように俯く。
「……んで」
「なに?」
「なんでアイツを、その名前で呼んだ!!」
叫ぶような声だった。
あなたは誰?
どうしてそんなに悲しそうな顔をしてるの?
尋ねたいのに。
少女の声を皮切りに大きくなった周囲のざわめきが、邪魔をする。
「誰?」
「誰だろう」
「女?」
「紫藤の女?」
「顔みせろ」
「顔は」
「誰か知らねぇの?」
「あー顔見えない」
これは私、とんでもないことをしでかしたんじゃないだろうか。
そう呆ける私に、カシャリ、と至近距離でカメラのシャッター音がした。
少女の持つ一眼レフが私の顔を撮ったんだ。
――え、なんで?