余所者-よそもの-
途端、静止した私の身体が地面から浮いた。
「チンタラすんなって言っただろうが」
いつの間にか戻ってきたらしいシド。
ち、と舌打ちをしながら私の脇から抱き上げると、そのまま肩に担ぎあげた。
「……退け!!!」
そしてひと際大きな声で周囲を散らせば。
担いだ背中で私の顔を隠しながら、ギャラリーを裂いていく。
四方から飛んでくる「誰?」の関心に、シドの背中にピタリと張り付いて、隠れた。
やがて聞こえたスライドドアの開く音に「降りろ」の声。
どうやら多夜の車まで戻ってきたらしい。
「おい」
私は両手でシドの背中を握りしめて、離せなかった。
だって、私。
なんてことをしちゃったんだろう。
どうしてあんなことができたんだろうって感心すらする。
「降ろすぞ」
倒れる上体にぎゅうう、と手の力を強めた。
「……どうすんだよ。ずっとこのまま張り付いてるつもりか?」
そうは言われましても。
「殺さない?」
「あ?」
「殺さない?」
「…殺さねぇだろ」
それを聞いた私はゆるゆると手の平を開いた。
座席にそっと降ろされると「なんつー顔だよ」とすっと上から降りてきた手のひらに、鼻の先を撫でられる。