余所者-よそもの-
「詰めろ」
座席に正しく座り直し、シドだって隣に座る。
車に乗り込んだシドに扉は締まり、車内が一つの空間になった。
私は窓の外を見ていた。
シドだって同じように窓の外を眺めるだけで、何も話さない。
無言が車内を支配したまま。
とうとう車は見覚えのある景色を映して、停車したのだった。
AnBarだ。
やっと帰ってきた……。
私は買い込んだものをガサガサと集め、早々に車を降りようと腰を上げた。
「これも持ってけ」
すると小さな紙袋がシドから差し出される。
「なんですか、これ」
「スマホ」
その言葉に、がばっと顔を上げた。
「要るだろ」
「買ったの?」
「当たり前だろ」
「どうして?」
「お前、身分証もねぇじゃねぇか」
たしかにそうだ。
今の私はスマホを契約できない。