余所者-よそもの-
15話:暴走
そっとAnBarの防音壁を開いた瞬間が答え合わせ。
疑いは確信に。
……どうもマズいことになってる。
「――…じろよ!!マジだ、マジだぜ!?マジで紫藤が居るんだ!」
「そうですか」
「多夜ごと車で待機してるぞ!なんかする気だぞ!」
「あのですね、バンくん」
「しかも女だ、女と一緒に居た!呑気にイチャついてタイミング待ってんだ!」
先ほどの男はとても興奮している様子で、カウンターのサンコンに唾を吐きかける勢いで訴える。
対するサンコンはとても冷静で、どうしたものかと少し困った顔をしながら「はぁ」と溜息を吐いた。
そうして入口に立ったまま入るタイミングを見計らう私に気が付いた。
「ああ…カナコさん。おかえりなさい」
「た…ただいまです……」
隠れていたL字の通路を抜け、フロアに登場してみると。
テーブルにはユキと潤が居て、二人そろって煙草を吹かしていた。
どうしよう、気まずい。
勢ぞろいだ。
「うわ、あの様子だとユキの勝ちかな」
私を見るなり残念そうにそう言った潤。
しぶしぶといった様子で、ユキに一万円札を差し出す。
一方でその手前では。
さっきまで声を上げていた男が、パクパクと魚みたいな呼吸をしながら私を指さす。
これは一体、どういう状況だろう。
考える間もなく、ハッとした男が私目がけて突進してきた。