余所者-よそもの-


「何の用だッてめぇ!!!」

どん、と肩を掴まれ壁に押し付けられる。


「紫藤の女が!ここに何しに来たッ!!」


ものすごい形相で唾を吐きかけてくる男。

すでにピースは繋がっていた。


この男はきっと――…


「やめろ、バン!」


バン。
ここの、AnBarの従業員。


潤が私とバンの間に割り込んで、べりっと引きはがす。


「なんだよ潤!バカか!バカなのか!?その女さっさと捕まえろ!人質にするんだ!」

「ハイハイ。わかったから一回黙れって、お前」

「なに悠長なこと言ってんだ!紫藤が来てるんだってば!そ、こ、に!すぐ前に!」

「あーもうっ!!わかったっつってんの!!!」


止まらないバンに苛立ち、大きな声を出した潤。
いよいよバンが静かになった。


「……紫藤はもう居ねぇよ。帰ったはずだ」

「なんでそんなことわかるんだよ」

「用事が済んだからだ」

「用事だと?」


やっと会話になったことに肩の力が抜けたのか、潤は「はぁ」と溜息をついてから電子タバコをセットする。

< 114 / 276 >

この作品をシェア

pagetop