余所者-よそもの-
逸れた話を潤が戻す。
「で?そのキューショホーケーが何だって?」
「オイ。龍翔鳳鱗だ。次間違えたらブッコロス」
…あの。
ド下ネタですけれども。
ものすごい間違われ方をしてるけど、もっと怒らなくていいのかなタクマ隊のブレーン。
大丈夫かなタクマ隊。
「暴走してたら紫藤の車にダチの単車がこかされた。もう単車に乗れねぇ、ソイツ」
一瞬、しんと静かになった。
ユキは少し冷ややかな顔つきで疑う。
「まさかシトウで暴走してたんじゃないだろうな」
「…や、ちげーよ。話せばややこしいんだけど、一部のヤツが粋がって」
「バカだな。シトウで暴走なんかすれば、どうなるかなんてわかるだろ」
「やべーのはわかってたよ!だけど、なんでだ?なんで、それを止めに行ったダチがやられなきゃいけねぇんだ?」
理不尽だ、というようにそのバンの声はやるせない。
けれど、ユキの表情が同調することはない。
「知らないけど。族ってそういうモンじゃないの」
「ざけんなよ。そんなのは逃げだ。どいつもこいつも腰抜けばっかでムカつくぜ。俺は、俺のダチがやられたから、だから紫藤にやり返すんだ。それの何が悪いんだよ」
「………」
ユキは考えるように煙草に火をつけた。
一口吸って、吐いて。
やがて首をかしげた。
「うん、やっぱり理解できないな。それになぜ俺が巻き込まれるんだろう」
「…族は動かねぇ。だからお前らを使う」
「意味がわからないから。いい加減に端的に言ってくれ」
落ちた灰皿にとんとん、と灰を落とす。
灰を落とす指先は少し強くて、少し苛立っているようだ。
バンだってそんなユキに触発されたか、もしくは焦ったか。
すうう、と大きく息を吸ってから、話に勢いを付けた。