余所者-よそもの-
そう言われて、やっとわかった。
どうして出会ったあの日。
サンコンも潤も、私を受け入れることに抵抗したのか。
そして、ユキがそれに構わなかった理由も――…
「関係ない」
「あ?」
「関係ないんだよ。監視されてようが、女が居ようが、俺はこれまで通りここで商売するだけ。ここで商売することは紫藤にとってプラスでもマイナスでもない。ないんだよ、そもそも俺と紫藤の間に成立する問題なんて」
ユキがそう言えば、バンはもう何も言えない。
見開いた目を落として、呆然としている。
「そもそもの対象の見方が俺とお前とじゃ違う。一緒にするな」
「なんなんだよ…お前」
悔しそうに声を絞り出すバンに、ユキは余裕の笑みを浮かべ畳みかける。
「一つアドバイスをしてやろうか。寄生するならもっとシトウに潜るべきだ。内にこそ本当の悪意は潜んでるってもんさ。とにかくズル賢く罠を張って、畳みかけるまでは絶対に自分の敵意を相手に気付かれちゃいけない。警戒されたらお終いだから」
そうまで言ってから、わざとらしく「あ、もう遅かったか」とあざ笑う。
「せいぜい頑張りな、ブレーン。今月の給料は振り込んであげるから。お疲れさん」
ユキさんはもう興味がないと背中を向けて、ひらひらと後ろ手で手を振った。
バンは静かに立ち上がり、出口へ向かう。
「手伝います」
覚束ない足で、よたよたと壁を伝い歩くバンに手を差し伸べたけれど。
「触んな、クソ女」
……跳ねのけられてしまった。
仕方がないので何もせず、バンがAnBarを出ていくまでを見送ってから、ユキや潤のいるテーブルまで戻った。
「放っておきゃいいのに」
「そう、ですかね」
バンは心の底からシドを憎んでいた。
大切な友達を傷つけられたのだから、その感情は理解できる。
でもシドには。
優しい一面があることも、知ってる。