余所者-よそもの-
「ほんとほんと!何かあったらすぐに対応できるようにユキも俺もスタンバイして、な?」
同意を得ようと潤がユキを見る。
その口はニヤニヤといやらしい。
「そうだね。賭け事をしたりしてね」
そう言ったユキに、さっきの一万円のやりとりを思い出した。
にしても。
「賭けの対象って私ですよね」
「ええ!?」
「いや、わかりますから」
わざとらしく驚く潤に腹が立つ。
わかるわ。
「なにで賭けたんですか?」
「カナコちゃんが無事に帰ってくるか、みたいな?」
潤が一万円をユキ渡したということは、潤は私が帰ってこないと思ってたってこと?
「帰ってきてすみませんでした」
「いやいや、帰ってくるとは思ってた!けど、殴られて帰ってくると思ってた!」
「あ」
「まぁまぁ、気にすんな」
一応、殴られはした。
肩だけど。
本当は潤の勝ちだけど、言わないでおこう。
「そんなにシド…ウさんって、酷い人ですか?」
私がそう尋ねると、潤は「まぁ」と頷く。
「紫藤は非道ってのはそうなんだけど。カナコちゃんはカナコちゃんで無謀じゃん」
「無謀…」
「さっきみたいによー。常になんか余計なことやらかしそうな雰囲気出てるよ。だからてっきり紫藤に失礼やらかしてボコられてくるかなーなんて思ってたんだけど」
ヤバい、的を射てる。
ちょっと今日殺されそうでした。
「ユキは無傷に賭けて、俺ハズレ。女を見る目には自信あるんだけどな。今日じゃなかったかな」
恐ろしいこと言わないでほしい……。