余所者-よそもの-
17話:隠れ家
「うー、寒…」
両手にカサカサとビニール袋の音を立てて、寒さに駆け込むようにAnBarのドアを潜る。
「お帰りなさい」
「おつかれ」
あ、ユキさんだ。
サンコンとユキに挨拶をして、カウンターの中へと入る。
今は開店前。
私がここで、AnBarで働き出してから早くも一週間が経った。
私の一日は買い出しから始まる。
開店準備は掃除したりテーブルセッティングをしたり。
作業タスクは大体覚えられてきたと思う。
それでも、いざ営業が始まってしまえばわからないことだらけ。
お酒を作るのはまだまだだし、絡んできた酔っ払いの扱いも下手くそ。
覚えなきゃいけないことはまだ沢山。
私はカウンターの椅子に脱いだ上着を置いて、代わりに黒のサロンエプロンを巻いた。
さて、準備だ。
「サンコンさんおつまみ適当にってことだったのでナッツにしたんですけどよかったですか?激安でした」
ほら、と見せたレシートにサンコンは「問題ありませんよ」と朗らかに笑う。