余所者-よそもの-
「じゃあ、ストックに入れておきますね。今日の分も手前に出しておきます」
「ありがとうございます」
「あ、このドライフルーツ奥に隠れてたんですけど、賞味期限が近いです。今日出してもいいですか?」
「おや、お願いします。どこに隠れてました?」
私の手元を覗き込んだサンコンが「それは気が付かないですね」と言って、理由なく「ふふ、」と2人で笑った。
「かぁこ」
「なんですか?」
ノートPC越しに頬杖を付いたユキと目が合う。
彼はどうしてだか、私のことを『かぁこ』と呼ぶ。
あだ名のようなものなんだろうけど、初めて呼ばれたときは自分のことだと気が付かなかった。
私はカナコですよ、って言ったけど取り合われることはなく、今に至る。
悪い気はしない。
むしろ距離が縮まった感じがして少し嬉しい。
「酒」
「え、仕事中に飲むんですか?」
「一杯くらいじゃ酔わないよ」
「少し薄めに作ります」
私がそう言えば、少しムッ、とした顔をするユキ。
ユキが『酒』と言うときはハイボール。
ウイスキーの瓶を棚から下ろす。
「勝手なことをするよね」
「ユキさんは気づいてないかもしれないですけど、」
グラスに氷を入れ、マドラーでカラカラと回してグラスを冷やす。
「サンコンさんがユキさんの仕事中にお酒を出すときは、いつもウイスキーの量が少しだけ少ないんです」