余所者-よそもの-
「お前、今どこで何してるんだ?」
「言えない」
「言えよ」
「タカは?」
「お前が言わねぇなら俺も言わねぇ」
子供みたいなことまで言い出すので、「ふふ」と笑った。
「そうやってお前、いつも笑ってたよな。俺の隣で楽しいって」
「うん」
「俺と居られて幸せだって」
「うん」
「元に戻ろう」
そんな時も確かにあった。
付き合って二年の月日の中には、幸せだった頃の記憶もある。
別に、全てが不幸だったわけじゃない。
「あの楽しかった日に戻ろう」
私は首を横に振った。
「タカ。私はもう、戻れない」
「嫌だ」
「地元には一人で帰ってほしい」
「嫌だ。どうすりゃお前は戻ってくる?」
どう伝えれば、わかってくれるだろう。
別れない理由を探す彼。
別れる理由を探す私。
すれ違ったままの平行線。
手は繋がっているのに、心は途切れたまま。
彼は私の腕をギリギリと握り、どうにもならない苛立ちをぶつける準備をしていることが分かる。