余所者-よそもの-
「多夜さんっ、お願い!シドを止めて!」
「黙れと言った」
「なんで!この間は私にシドを止めさせたのに!」
「それとこれとは違う」
何が違うの?
これは私と彼の問題。
彼にも、シドにも、誰にも傷ついてほしくない。
だけど、どれだけ腕の中で暴れても放してはくれなかった。
その間もシドは彼を殴り続け、彼だって何度も立ち向かう。
見ていられない。
とうとう私は彼からもシドからも目を反らした。
そんな私の頭上からは、懐疑的な多夜の声が降ってくる。
「……お前の男、やけに頑丈だな」
そんな多夜の声が届くはずもないのに、それまで殴り続けていたシドがふいに手を止めた。
彼を引き寄せ、身体をまさぐって。
やがて何かを彼に耳打ちしている。
――なに?
シドは再び彼を吹っ飛ばすと、今度は襟首を掴んで歩き出す。
待って。
どこに連れて行くの?
「なるほどな」
多夜は何かに納得したようだけれど、わからない。
何?
何が起きてるのか教えてよ。
見上げた先で、多夜が笑っていた。
目はシドに固定したまま、口の端が這い上がるように怪しく歪む。