余所者-よそもの-


なに。
なんなの。

あの男の人、様子がおかしかった。


追いかけてきてない、よね?
走りながら後ろを振り返る。

……よかった、誰もいない。

ホッと胸を撫でおろした時だった。


どん、と肩に強い衝撃が走る。


「アぃた……」

「……すみません!」


しまった。
前を見ていなかった。

肩をぶつけてしまったようだ。
その場に尻もちをついた知らない男は、痛そうにして肩をかばっている。


「痛ったぁ……」

「立てますか?」

「たつ、たつ」

「見てなくて。ホントすみませ――」


「うん、ちょうどいい」


顔を上げた男。
思わず、差し出した手を引っ込めた。


なんか、変。

私の顔をじっと見るけれど、その目はどこか遠いところを見ているようで、怪しい。
気味が悪い。

そう思った時には、もう遅かった。


「ちょうど探してたんだぁ、女」


そう言った男は立ち上がり、私を強い力で押す。

私の身体は閉じたシャッターに叩きつけられ、大きな音と共にワンバウンド。
跳ね返った勢いによろめいている内に、男はシャッターを下から上へと勢いよく持ち上げた。


そうすれば大きく開いた、ブラックホールみたいに真っ暗な入口。

男は私の首根っこを掴み、目の前の空間に私を放り投げた。


「――…ッ、」

肘とお腹を強く打ち付けて、その場に倒れる。

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