余所者-よそもの-


何が起きてる?
とにかく、立ち上がらなきゃ。

体勢を整えている間。


ガラガラガラ――…とシャッターが閉じる音の後、暗闇に包まれた。


「あーどこだっけ。電気電気……」


何が起きた?

痛い、暗い、怖い。

この男は何。
ここは何処。

電気はなく、外からの明かりも届かない、冷たい空間。
ぺた、ぺた、とコンクリートの上を四つん這いになって移動する。


「あ、うん。逃げてていいよ。ここ逃げ場ないし」


逃げなきゃ。
その一心で動いていた身体が、一瞬止まる。


「その様子だと素人だよねーいやぁ、可哀そう」


震える身体。
音を立てないように静かに這って、手探りで周囲を確かめた。


やがてパチ、とスイッチの入った音が響き渡る。
ブン、と電気が通った音に、何度か点滅を繰り返す白色光。

やがて安定した電気が、周囲を明るく照らした。


「どこだろー」


私はデスクの下の囲いの中で身を潜めていた。
両手で口に手を当てて、悲鳴も、鼻息も漏らさないように細心の注意を払った。

男はこちらに向かって一歩、また一歩、とゆっくり近づいてきていることがわかる。


「ここかなぁ?違うかー」


心臓が今にも飛び出してしまいそうだった。


私の視界の限りでもわかる。
ここはそう広い空間じゃない。

見つかるのも時間の問題。


「……いないかぁ。もしかして逃げられちゃったのかな」


がっかりしたような男の声。


その瞬間、

「なーんてね!」


デスクの下に身体を畳んで隠れる私の頭上から、逆さまになった男の顔が現れた。


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