余所者-よそもの-

バン!と音を立て閉ざした扉には、鍵がついていた。

私はつまみをひねって鍵をかけると、扉に背中を置いて蹲(ウズクマ)る。

そこは十畳ほどの狭い部屋だった。
しん、と静かな空間に、自分の心臓の音だけが響いて、気持ち悪い。


男の足音が二階まで上がってきたかと思うと、手前のドアを開ける音がした。

ドアは二つ。
男はすぐにこちらに向かってきた。


――ドン!

外から扉を叩かれる音。
背中をくっつけた私の身体が衝撃に小さく跳ねた。


「……ひ、」

「おいおいおいおい。マジかよ。あーけーてー」


干上がった喉から、悲鳴にならない悲鳴が上がりそうになる。


「この部屋、鍵なんかあったんだなぁ。二階に上がることなんかなかったから知らなかったよぉ」

ドン、ドン、ドン。


「助かったって思ってる?これじゃ袋のネズミだよ」

ドン、ドン、ドン。


「ぁぁぁ。ヤダなぁ、めんどくっさぁー。ぶち切れそー……」

ドン。


「――…クッソォォォォォォォォ!!!」


ドゴン!とひと際大きな破壊音と共に扉は跳ねて、つけた身体が前に飛ぶ程の衝撃が伝わってくる。

男の苛立ちが伝搬(デンパン)してきて、こちらの気が狂いそうだった。


「……なぁんか、持ってこよ」


そう言った男がドアの前から離れる音を聞いた。
足音は遠くなってから、下の方に下っていく。

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