余所者-よそもの-


『え、は?何。どうしたんだよ』

「なんか、わからなっ、男の人に、追われてっ」

『落ち着けって!お前今どこにいるんだよ』

「わかんない!!」


何処だと言われても。
ここは知らない事務所の二階。

ここは何処?
私が知りたい。

頭を掻きむしると、ピン、と髪を止めていたクリップが外れて転がった。


ここにきてパニックに拍車がかかる。
誰かの声を聴くと安心して、早くここから逃げ出したくて仕方がない。

だけどここから出たいと思えば思うほど、どうやって?っていうのがついてこなくて焦る。


そんな私を引き戻すような声がした。


「かぁこ」


状況に合わない、のんきな名前。

私をそう呼ぶのは一人しかいない。


「ユキ、さん」

いつの間にか電話口にはユキが居た。


『今どこ?』

「わからないんですってば!なんか事務所っぽい二階に閉じこもってて、今はっ」

『じゃあ、AnBarを出てどこに向かった?』

「エ…恵西」

『そこから?』

「シトウの、東側に」

『それで?』

「そこからは、わ……わかんなくて」

頭は真っ白。
声は上ずる。

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