余所者-よそもの-
神出鬼没なことは知っていた。
でも、どうしていつもこんなタイミングなんだろう。
「え?」
「どうしてZに潜ってる」
「紫藤……」
振り返り、その正体に気づいた潤は珍しくスマートじゃない。
隠しきれない動揺が潤の顔に滲んでいた。
「追ってきたのか?男を」
「え、は?男?」
「わかってんのか。ここがどういう場所か」
まただ。
またこの場所の話。
Z地区。
「何なんですか?この場所」
「あ?」
「Z地区って、何なんですか」
「なんだと?」
シドは眉をひそめ、潤は目を見開く。
やがて聞こえた「チ、」と舌打ちする音。
するとほぼ同時、シドが潤を殴った。
「――カハッ、」
鳩尾を殴られた潤は、膝からずるりと崩れ落ちた。
「隣がうるせぇ。なんとかしろ」
「待……」
片手を上げて「待ってくれ」と伝える潤を、シドは待たなかった。