余所者-よそもの-
隣の部屋から絶えず聞こえる破壊音と、雄叫び。
私の居るこの部屋からは死角となっている隣の部屋。
理性をなくしたサンコンが暴れる部屋に、シドは速やかに移動した。その直後だった。
一度しん、と静かになったかと思えば、大きなうめき声が響き渡る。
「アァァアアァアァ……」
腹を抑えながら壁伝いに移動する潤に遅れて駆けつけ、部屋を覗きこめば。
「………」
「………」
私と潤は言葉を失った。
「……ハ、な、せぇ……!」
鼻血を吹き、地面に頭を押さえつけられたサンコン。
「うるせぇんだよ、お前は」
これまでサンコンは、誰に対しても圧倒的だった。
私はこの人が人類最強の男とさえ思っていたのに。
シトウの紫藤、と言われる所以(ユエン)は。
紫藤に逆らうな、と言われる所以は。
この全てを凌駕する圧倒的な力と、威厳なんだろう。
「最低限だ」
ぽつり、と落とされる声は、いやに部屋に響く。
「この街に生かすっつーことイコール、ここの警戒は最低限じゃねぇのか」
サンコンは痛みに顔を歪め、潤は生唾を飲む。
シドはそれを同意なきものと判断したのか、再び舌打ちをしてからサンコンの頭をその場に打ち付けた。
「――ガァ……!」
「や、やめてくれ!悪かった」
潤の謝罪はこれ以上状況を悪くさせないためのもの。
しかし当の本人は受け入れない。
「ハハ…調子ぃコきやがって……こん、クソがァ!!」