余所者-よそもの-
「居たのか」
そうシドが誰かに話しかけたのは、建物を出てすぐだった。
「今、来たところだ」
「にしては煙草が短けぇな」
「取込中のようだったから」
「えらく他人行儀なんだな」
「そう?」
「気に食わねぇな。俺は他の誰でもねぇ、お前に世話寄こしたはずだぞ」
「事実確認しないことには、なんとも」
「俺は馬鹿野郎は嫌いだ」
そう言って足を進めたシドに、すれ違うユキ。
「――…俺もだよ」
そう嘆いたユキの声は、シドの僅か後方に居た私にしか聞こえてないのかもしれない。
逆さになったまま覗き見たユキの姿。
この距離にしてはやけに遠く見えて、視線が交わらないことを残念に思った。