余所者-よそもの-



「後悔するか?あの日、俺に拾われたこと」




私とシドの視線が交わった。
シドの瞳は、焼ききれそうなくらいに熱い目をしてると思った。


怖くなって、思わず目を背ければ、

――ギシリ、とベッドのスプリングは大きく鳴いた。


「………」

私の正面に腰を下ろしたシドは、うろたえる私の顎を掬って、強制的に視線を絡ませる。

まるで、喉元に刃を突き立てられているようだった。


「……わたし、シドに助けてもらったこと、後悔してないよ」


彼との別れ。
シトウの街で暮らすこと。
AnBarやみんなとの出会い。

全部全部、後悔こそしていない。


「後悔なんて、しないっ」


そうやって言えば、私のちっぽけな脳みそにある彼との思い出が全部きれいさっぱり燃えてなくなる気がした。

あの日、シドが私に強いた覚悟は。


――『ぁ……あなたは、私を助けられますか?』
――『助けるには助けられるんだろうが、覚悟が要るな』


私が本当の意味で助かるために必要な、残酷な覚悟だったのかもしれない。



「………」
「………」


苦しい呼吸を肩で整える間、沈黙が場を支配した。

その間、シドは何も言わなかった。


その代わりに、優しく私を抱きしめた。

上手く答えることができたって、褒めるみたいな抱擁だった。




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