余所者-よそもの-
それから間もなく営業時間を迎えると、ユキはAnBarを去り。
人もまばらな前半の営業をこなすと、やっと人入りの増えるこの時間。
午前0時のゴールデンタイムきっかり。
数名のお客さんに紛れて、潤が宣言通り私を迎えにやってきた。
「行くぜー」
「いや、あの」
さすがに今すぐは出られない。
「ちょっと今忙しいので待っててもらえますか?」
「忙しいの?」
きょとん、と目を丸める潤に「見ればわかるじゃないですか」と入ってきたばかりの客に視線を映して言った。
せめて一杯目のドリンクを出してからでないと。
すると潤は「サンコン、行ってくるから!」とカウンターに向かって声を張り、
「いってらっしゃい」
と、サンコンだってなんてことない顔で送り出してくる。
「いーって。これのどこが忙しいんだよ。居酒屋でもあるまいし、客は客で適当にやるからいいの。さっさと用意してこい」
そう言って、腰に巻く私のエプロンの結び目を後ろでシュ、とほどいた潤に行動を余儀なくされ。
外れたエプロンの代わりに、上着をひっかけると、いつの間にか爆音に変わったBGMを背にAnBarを後にした。