余所者-よそもの-
「あ」
しまった、とAnBarの路地を数歩歩いてから気がつく。
「潤さん、ホストってドレスコードとかないんですか?」
「ん?」
そう言って潤は上から下までの私の服装を見る。
「んーまぁ今日はいいよ。個室通すし」
「そうですか」
「カナコちゃん、ホストクラブ初めて?」
私がコクリ、と頷けば、潤は少しからかうように「カナコちゃんのハジメテもらっちゃった」と肩を抱いてきた。
……相変わらず、距離が近い。
「潤さんのお店ってシトウなんですよね?」
「そそ」
「ユキさんの経営するお店じゃないんですね」
「ん-まぁ、いずれそうするだろうけど。今はこっちの方がいろいろ都合がいいんだよ」
「都合?」
「シトウの情報も仕入れておかねーとな?」
「なるほど」
「やっぱりこの街の中心はシトウだから」