余所者-よそもの-


「……潤さん、」と声をかけようとした時だった。

スーツの男が「失礼します」と部屋に入り、潤に耳打ちをする。


「あ、おけおけ。すぐ顔出し行くわ」

そう言いながら、席を立つ潤。


「ごめん、呼ばれちゃった。好きに飲んで待ってて!」

「え、あ、はい」

「大丈夫、一人にしない。スタッフつけるから」

「………」


スタッフ?


そこからはもう、戦いだった。

「おねーさん、名前は?」
「カナコです……」
「カナコちゃん!めっちゃ可愛い名前だね!」
「はあ……」
「彼氏はいるの?」
「いません……」
「なーんで!もったいない!」
「ありがとうございます……」
「仕事は何してるの?」
「clubで……」
「うーっそ、まじ!?モデルかと思った!」
「そうですか……」
「………」
「………」

私を褒めちぎってくるホストに、上手くリアクションすることができない。
よくもまぁ歯に浮くセリフをここまで連射できるもんだ。
すごい仕事だと思う。

私は潤がいない間、たくさんのホストに囲まれた。
個室の広いソファは常に満席。

視界の全てから容赦なく浴びせられる賛美。
地獄のシャワー。


上手くノれない私は、ひたすらお酒に口を付けて誤魔化し続けた。

すると、どうしたことだろう。


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