余所者-よそもの-


行きと同じ。
潤は私からグラスを回収してその辺にコップを置くと、再び脇を支えて歩き出す。


薄目で歩いて、やがて足を止めた潤と一緒に立ち止まった時。


「チェック終わった?」

そう言った潤に、聞き覚えのある声が返ってくる。


「おい。会計余裕で三桁超えたんだけど」


そのユキの不機嫌な声を聞いた途端、背筋がしゃんとした気がした。


「ごめん、やりすぎちゃった」

潤は悪びれもなく笑いながら言い、「ほれ、太客への特別なお土産」と、私の身体をユキへと押し出す。


ユキはヨチヨチと歩く私をウザったそうに腕で抱え込むと、至近距離から冷ややかな視線をくれた。


「お前は息抜きの加減も知らないのか」


返す言葉もございません。


「じゃーね、カナコちゃん」


間髪入れず送り出してくる潤。
ユキが出口に向かって方向転換しようとしたので、抵抗した。


「カバン、カバン……」

そう言って席に戻ろうとすれば、後ろのユキに襟首を掴まれて前に進めない。


「バッグはユキに持たせてるから。大丈夫だよ」

「えーありがとうございます」


ユキに背を向けたままお辞儀をすれば、後ろから伸びてきた手が、私のおでこをパチン、と叩いた。

前に居る潤はとってもおかしそうに笑ってる。


「この酔っ払いめ」


そう吐き捨てられ、情けない気持ちのまま。
初のホストクラブを後にする。



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