余所者-よそもの-


潤と一緒に歩いたから、帰りの道はなんとなく覚えていた。

シトウの大通りまで出れば、あとはずっと真っ直ぐに恵西まで歩く。

恵西まで来れば、あとはいつもの道のり。


空を見上げると、まだまだ薄暗いことに気が付く。
すっかり朝かと思っていたけれど、日はまだ昇っていない。


来たときはあれだけ騒がしかった通りは、とても静かで閑散としていた。

肩がぶつからないように遠慮して歩く昼間とは全然違う。
この静かなシトウの街を一人ゆっくりと散歩をしながら歩いていると、酔いもだんだん覚めてきた気がする。


そうして、露天街のアーケードを潜った時だった。


「返せ!これは私のだ!」

切迫した怒鳴り声が、夜の空気を切り裂いた。

暗がりの中、声の方に向かって歩いていく。


「お嬢ちゃん。そんなことを言われてもなァ。うん?名前でも書いてあるのか?」

「そんなものなくたって……見間違えるはずない!」

「馬鹿言うな。コレが欲しけりゃ金払いな」

「なんで自分のものに、金がいるんだよ!」

「金がないならとっとと帰れ。朝っぱらからクソガキ相手にしてられねぇんだよ」

「クソ浮浪者が……」

「ああ?んだ、てめぇ。喧嘩売ってんのか?」


露天街に充満する黒の感情。
一触即発。

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