余所者-よそもの-
「私、この子がこのカメラを持ってたこと、知ってます」
「だからなんだ」
「返してあげてください」
きっとこのカメラは彼女にとって大切なものなんだと思う。
チラリと、隣に並ぶ少女の様子を窺えば、目が合った。
「お前……何のつもりだ」
「………」
向けられたのは感謝ではなく、剥き出しの敵意だった。
そうしている間にも、男は苛立ちを募らせていたらしい。
至近距離から鼓膜が破れるほどの怒声が降ってきた。
「馬鹿言うな!いっぺん商品になったモンをおいそれと渡すワケねぇだろッ!!」
すると少女はまけじと立ち向かうように一歩前に踏み込んで、怒鳴り返す。
「何が商品だ……ふざけるなッ!!盗んだんだろうがッ!!」
「知るかボケッ!仕入れで流れてきたんだよ!これが欲しけりゃ金払えクソが!」
お互いがお互いに話にならない、と罵倒する。
このままじゃ埒が明かない。
「いくら?」
私は尋ねた。
商人の土俵に立ってみる。
中古のカメラ。
新品で10万円程度の物であれば、高くても数万円程度。
しかし商人は苛立った顔のまま、口だけニヤリと笑う。
「ヒャク」
「……100?」
「百万だ。欲しけりゃ払え。喜んで売ってやる」
「………」
馬鹿げてる。
こんなの安い挑発だ。
だけど隣は怒りでフルフルと震えていた。