余所者-よそもの-
「……馬鹿か!」
「え、」
振り向くと、少女は私に向かって叫びながら走り出していた。
ああ、そうか。
今のうちに逃げるのか。
「おい、待て……コラ…」
「走れ!!」
少女の後ろを追いかけるように走る。
「逃がすかッ!」
相当頭に来ているらしい商人。
当然、鬼の形相をして追いかけてきた。
後ろを振り返って、前に向き直る。
少女の背中は、さっきよりも遠退いている。
少女の足が早いんじゃない。
私の足が、遅い。
なぜなら私は――まだ、酔っ払いだからだ。
「うー……」
ああ、足がもつれる――…
「追われるのが好きなの?」
躓きかけた私の背中をガシッと掴んで、その場に立たせたのは、
「ユキさん……!」
潤の店の前で別れたはずの、ユキだった。