余所者-よそもの-
「……あ!」
「なに」
「女の子、私より前に走っていったんですけどっ」
「ああ。上手く敵をお前に擦り付けて、先に逃げて行ったよ」
「……よかった」
「お前って、絶対どっか頭のネジ飛んでるよね」
「………」
奇遇だ。
それさっき私も思った。
あと少しでアーケードを抜けられる、というタイミングだった。
前から二人の商人がアーケードに入ってくる。
手には棒切れやバットを持っていた。
考えるまでもなく、さっきの商人の仲間だ。
このままじゃ、囲まれてしまう。
私とユキは、アーケードの端からすり抜けるように通り過ぎようとした。
「そいつらだ!捕まえろ!!!」
しかし、後ろから号令がかかると、よそ見をしていた商人たちは一気に距離を詰めてくる。
――だめだ、捕まる。
そう覚悟したとき、背中がとん、と優しく押された。
「逃げな」
後ろを振り向けば、ユキはすっかり足を止めている。
「……だ、だめです」
すっかり覚悟を決めたように前を見据える背中。
サンコンより、シドより、線が細くて、滑らかな綺麗なその背中。
嫌だ、と思った。
こんな綺麗なものを傷つけちゃいけない。