余所者-よそもの-
「――……!」
私は睨み合う商人とユキの間に割り込んだ。
「巻き込んでしまってごめんなさい!」
「お前一人でどうするの?」
「わ…わたし、殴られるの、得意なんです」
大きく両手を広げたまま、大きな声で言ってやった。
大丈夫、気にしないでくださいと伝えたかった。
そうしてユキに振り返り、
「全然、大丈夫です」
きっと引きつったままの下手な笑顔を見せびらかした。
「……わかった」
そう返したユキに安心して、前へと向き直る。
視界には、近くに迫った商人。
大きな角材をこちらに向かって、力いっぱい振り下ろそうとしている瞬間だった。
――ああ、死んだ。
避ける暇なんて一ミリもない。
スローモーション映像を見るように、私はただ目を剥いてその時を待った。
「馬鹿な上に言うこともきけない。……本当に、どこまでも手がかかる」
――ぐらり、と視界が反転した。
お腹に回った腕、暖かい背中。
ガン、と、私に向かって振り下ろされたはずの角材が、目の前のアスファルトを叩いている。
見上げれば、色白の首筋。上下する呼吸。
「え……?」
私はユキの腕の中にいた。