余所者-よそもの-
そこはもう、ユキの独壇場だった。
何人かかってこようと関係がない。
2人だろうが、3人だろうが、4人だろうが。
全てが彼の意のままで、商人の殺意の一切がユキや私に及ぶことはなかった。
まるで何かの見世物みたいに路上を舞う姿は、とても暴力的なのに美しいとさえ思ってしまった。
「サンコン電話出た?」
一瞬、って言っていいほどあっという間に追加四人を黙らせると、ユキは転がった角材を蹴り飛ばしながらこちらに戻ってくる。
「……あ」
スマホに目を落とすと、『通話中』の文字。
……完全に忘れていた。
「あ、サンコンさん、あの」
すっかり遅い対応に、お役御免と言わんばかりに取り上げられたスマホ。
「……サンコン?うん、ちょっと助けて」
助けてって言っても、助けてもらう必要なんてあるのかな。
ユキは手短に用件を伝えると、最後「GPSかけろよ」と言って電話を切った。
私は未だ呆然としたままだった。
静かになった路上で、夢を見ているような気分だった。
「し、知らなかったです」
「なに?」
「ユキさん、喧嘩できちゃうんですね」
「やりたくてやったワケじゃないけどね」
じっと睨んでくる目に、ペコリと頭を下げた。
「こういう雑務はサンコン担当。俺は――」
「うぅ……」
「は?」
「吐きます……」
我慢してたけどもう無理、限界。
「ほらココ。ココに吐きな」
口元を抑えて悶える私に、ユキはほれほれと路上にノビる男たちを指差してくる。
さすがにそこまで憎くない。