余所者-よそもの-
ノりにノって、手を動かし続けること早二時間程度。
ソファの周りがやっとキレイになった。
「……ふう」なんて、達成感に浸っていると、リビングの入り口から声がかかる。
「何してんの?」
まだ目の開ききっていない、寝起きのユキがリビングの入り口に立っている。
「暇だったんで、少し片づけしてました」
ユキはボーっとキレイになったソファを見ると踵を返し、
「用意してくるから、続けてていいよ」
と、勝手なことを言って洗面所に向かった。
ユキはものの数分で身支度をした。
どこから引っ張り出したのか、今日も折り目の利いた新品のシャツにジャケットを羽織って、毛先を遊ばせたフワフワの髪は整髪料の香りが新鮮。
「もう行きますよね」
「うん」
「じゃあ私も一緒に」
と立ち上がれば、ユキは不満そうな顔をしてこちらを見ている。
「これ、どうするんだよ」
隅っこに置いた、仕分けの段ボールを指さすユキ。
「左がシャツとか靴下とかの肌着で、隣が洋服です。それで、」
「あのな」
「はい」
「自分で片付けられるなら、ハナからやってる」
まぁ、ですよね。
「聞きたかったんですけど、一度着た服はどうするつもりなんですか?クリーニングに出したいんですか?」
「………」
「それとも、捨ててしまうならいっそゴミに出してしまえばすぐに片付くと思うんですけど」
とても難しい問題みたいに「うーん」と考えだしたユキ。
おかしいな、めちゃくちゃ簡単なことなのにな。
「とりあえず行こう。出勤の時間だよ」