余所者-よそもの-
「かぁこ」
「……なんですか」
俯く私の前に、飲み切って空っぽになったグラスが返ってきた。
受け取ろうと手を伸ばせば、グラスは手前のカウンター台にコトリと置かれ、行き場を失った手がユキに掴まった。
大きな手に手首を握られて、何?と顔を上げる。
「手、開いて」
「はい……」
開いた手のひらにポトリ、と落とされたのは、黒くて丸い形をした重みのあるプラスチック。
「お前には新しい仕事を与えるよ」
「新しい、仕事?」
手元にきた、黒い物体を眺めていた。
それは車のキーみたいな形をしている。
「それ、うちのマンションの鍵。お前を家政婦として雇うよ。週3日で俺んち掃除して。給料はここと同額出す」
これはあのマンションの鍵。
ユキさんの家政婦。
掃除。
「……え!」
そうして、ここから私の生活は少し一変することになったのだった。