余所者-よそもの-
「ところで」
「はい」
「何かここに用事っすか?」
「ジャンプを買いに」
「ジャンプっすか。シブいですね」
「………」
見ず知らずの人との、よくわからない会話。
私はこれ以上関わらないよう、雑誌が飾られる棚へと視線を戻した。
「コレっすね」
だけど私が見つけるより早く、後ろから伸びた手がジャンプを棚から引っこ抜いた。
「奢りますよ」
「へ?」
「行きましょ」
「え、いや。知らない人に奢られる訳には」
「僕は知ってるんで、大丈夫っす」
その言い草に、思い当たった関係先は一人しか居ない。
「……シド関係?」
「大正解」
ズバリ読みが的中したところで、ジャンプを人質に取られた私はレジに向かう刺青男の後ろをついて歩こうとした。
だけど。
「ちょっと待って」
「なんすか?」
私はもう一度雑誌コーナーに戻って、目当ての物を探す。
……あった。
手に取ったのはジャンプスクエア。
どうしようかな。
これを買って帰ったところで冗談で済むかな。
いや、あの男のことだ。
本気でブチ切れてきそう。
「二つ買いましょう」
すると刺青男はしびれを切らせたように私の手から雑誌を奪って、再びレジに向かっていく。
「両方は要らないんだけど……」
だってこれだと、ただ気を利かせた無駄な出費。