余所者-よそもの-


「え、ちょっと」

だけど刺青男はお構いなしに会計を始める。
慌てて財布を出そうとしている間に、スマホで手早く電子決済を済ませてしまった。


「紫藤さんにツケとくんで」

「そういう問題じゃ……」

渋る私の横で、来店を知らせる軽快なチャイムが鳴り、自動ドアが開いた。

入口付近のレジ。
開いたドアから、冷たい夜風が舞い込む。

ふと目を向ければ、入ってきたのは二人の警察官。
店内を一瞥すると店員に駆け寄り、何やらコソコソと話をしている。

何かあったのかな?


「……チ、」

すると刺青男が豪快な舌打ちをして、思わず振り向くと同時に強く腕を引っ張られた。


「何?」

「出ましょうか」

「どうして……」


強引も強引。
引っ張られる身体に思わず抵抗した。


「ロクなことにならないっすから。ついてきてください」

「理由を言ってよ」


そう問答をしているうち。

――コンコン、と店の奥のほうで固いノックの音が聞こえた。
警察官がコンビニのトイレの前に移動している。


「後で説明するんで。早く――」


――ガチャリ、とゆっくりと開錠された音。


そして、
――ゴトン、と重たい何かが落ちる音が響いた。


え?

警察官の足元。開いたドアの隙間から、黄色い髪が見える。

コンビニのトイレの前で横たわる、その姿。


「……タカ?」


私は掴まれた手を力任せに振り払い、倒れた彼の元へと駆け寄った。




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