余所者-よそもの-
「おっはよーカナコちゃーん!」
「潤さんおはようございます。ユキさん、サンコンさんも」
開店前のAnBarに集まるみんなと挨拶を交わす、その傍ら。
「………」
ブウ、と頬を膨らませながら黙りこくるバンに、恐る恐る近づく。
「くんな!ブス!」
「ご、ごめんね。バンくん」
「うっせ!喋んな!ブスがうつる!どっか行け!こっち見んな!」
「………」
そこまで言わなくてもよくない?
「やったな!バン。女の身体なんて見たの初めてだろ!」
「うるせぇ……」
「恥ずかしがらなくていいぞ。初めては誰でも通る道だ!びっくりするよな!」
「うるっせぇよ!!!」
潤さんは大笑いをしながら、私の肩をぽんと抱いた。
「初めてがカナコちゃんとは……お前ちょっと贅沢すぎるよなー」
その言い草に、こっちまでだんだん顔が熱くなってきた。
見たもの全部忘れてほしい。
今すぐに。
両手で顔を隠せば、私の反応すら面白いのか、潤がまた大笑いをぶり返す。
「で。お前たちはいつになったら働き出すの?」
カウンターでパソコンを触っているユキが低く呟くと、潤を除く全員がピン、と背筋を正した。