余所者-よそもの-
「ん?ヒくの?」
「ああ」
「金は?」
「車を……売ってきた」
「ははっ!お前もう帰れねぇじゃん」
俺は忘れたい。
過去の所業も、今の罪悪感も。
それはとても簡単なことだった。
手にあるモノを手放せば、ドラッグを買える。
車を売った。
キーケースを売った。
ネックレスを売った。
スマホを売った。
身分証を売った。
俺は手放すたび、ドラッグへの依存を深めていった。
だって仕方が無いじゃないか。
ドラッグのように依存した女を忘れるためには、これ以外の方法はなかった。
自分の荷物も、取り上げたカナの荷物も何もかもなくなって、最後。
手のひらに残ったのが、あの日の指輪だったのはたまたまで、偶然。
決して高価な物じゃない。
こんなもの、金に換える価値もない。
ただそれだけだ。