余所者-よそもの-
「あー。ここで回してたバイトだよ」
「回す?」
「DJな。っつってもほとんど雑用ばっかさせてたみたいだけど」
あはは、と笑いながら「ここあんまDJいらねーんだよな」と零す。
私は頭を整理した。
バンという人物はここ、AnBarの従業員。
紫藤怜の店で暴れて、責任を問われてユキにそれを擦り付けた。
それに怒ったサンコンさんにボコボコにされ、潤によって病院へ。
そして本日退院。
潤は電子タバコをセットして吸い込むと、吐いた煙を追ってサンコンで視線を留めた。
「つか、放っておくってことは、ここはどうすんの?サンコン一人で店回るのか?」
「頑張ります」
ニコ、と返したサンコンに「気合かよ」とツッコむ潤。
カチ、と鳴ったライターの音は、潤につられたように紙タバコに火をつけたユキのものだ。
潤の煙と、ユキの煙がサンコン目掛けて絡むように合流した。
煙が晴れる前に、ユキが口を開く。
「新しいバイトならもう居る」
「あ、やっぱり?そういうことだよな?」
そう話すユキと潤が私を見る。
サンコンは瞬きをしていて「え、そうなんですか?助かります」と手を叩いていて、1人だけ理解ができていない様子。