余所者-よそもの-
私たちはAnBarを出た。

空はすっかり晴れ渡っており、細い路面は溶けた雪に濡れてキラキラと光る。

通りにはAnBarをはじめ飲食店やキャバクラ、ブティックなど、様々な店が軒を連ねる。


「ここらへんは歓楽街ってことになるんですか?」

「いえ、歓楽街の外れになります。この先に跨る大きな通りまで行けば歓楽街ですね」

なるほど、そう言われればこの長らく閉じたような古びたシャッターの理由もわかる。


「もっとも、明確な区切りはありませんから、個人的な感覚ではありますが」

そうして少し歩くと、一軒の古びた民家の前で足を止めた。


「まずは八賀さんにご挨拶を」

「え、挨拶っていうのは」

「私はここで待ってますので、どうぞ」


ちょっと待ってくれ。
挨拶って、何の挨拶?どう挨拶?
八賀さんって誰ですか?

って尋ねようとするのに、タイミング悪くサンコンの電話が鳴った。


「お疲れ様です。はい、ちょうど八賀さんのところです。はい、はい。問題なく案内してますのでご安心を」


電話の相手は絶対ユキさんだ。
何が問題なく~だ。

ああ、やっぱり潤がよかった。

スマホを耳に当てるサンコンを薄目になって見ていると、目線と手で『行け』と言ってくるのでもう諦めることにする。


もう知らない、どうとでもなってしまえ。

そんな気持ちで古民家の引き戸を開けた。

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