余所者-よそもの-
中に入ると土間があり、なんだか懐かしい感じがする。
おじいちゃんの家と同じニオイだ。


「すみませーん。ごめんくださーい」

………。
………。


無音。
待てど暮らせど誰かが出てくる気配がない。

玄関にインターホンもなかったし。

これだけ呼んでも出てこないってことは、留守なのかもしれない。


そう引き返そうとしたところで「うい~」と、奥から声がした。

よいしょ、よいしょ、と杖を突きながら出てきた老人男性。
この人が八賀さん?


「あの……」

「売るんかえ?」


ゆっくりと土間までやってきて、玄関にあった座布団に腰をおろす。


私は少し考えてから、ポケットに手をつっこむ。


時計の小箱の隅がポケットの裏地に引っかかってなかなか出てこない。

もたつく私を八賀がじっと下から見上げていた。


「見ん顔やな」

「……あ、私一昨日この街にきたところで」

「なんや、余所モンか」


そこでやっと出てきた箱を差し出せば、分厚い手の平で受け取り膝に置いた。

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