余所者-よそもの-
八賀はメガネを下げ、もにょもにょと口を動かして、湧いた唾液を飲み込む音を鳴らすと、不快そうな顔でこちらを見上げる。


「俺ぁ瑞生のガキが好かん」

「……へ?」

「理屈こねた男は好かんねや。アイツはズル賢いぞ」


たしかにユキは理性的な人だと思う。
感情は読めないし、何を考えてるのかまるでわからない。

無駄なことは嫌いそうだし、計算高い人間って印象はなんとなくわかる。

でも、
「悪い人ではないです」


そう言うと八賀は高笑いをして、時計を持つ手を振った。

「売るんか?売らんか?」


話がコロコロ変わる……。
売るか売らないかは最初から決まっていた。

持ち主が要らないと言ったものを売り、身銭にさせてもらうんだ。
値はいくらでもいい。

30万だろうが10万だろうが、十分な金額であることは違いない。


「売る、でお願いします」

「十万ぞ」

「はい」


返事をすると、横の下駄箱から金庫を取り出して、お札を束で手に取ると舐めた指でぱち、ぱち、と音を鳴らしながら数を数える。

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