余所者-よそもの-
10枚数えて床でお札を整えた後、差し出されたので受け取ろうと手を引けば、離れない。


「ここは嘘吐きばっか」

老人の手は強くお札を抑えていて、放そうとしない。


「お前みたいなヤツはよぉ馴染まん街や」

「あの、」

「できるだけ早ぉ出た方がええ。ぜーんぶ、喰われまうでな」


その瞳は、私のこの先を見通しているようだった。

早く出たほうがいい。
それが私のためだと、そんな助言。


聞き入れたことを確かめたように目が伏せられると、お札は解放された。


受け取ったお金を握りしめたまま、八賀にお辞儀をしてそこを出た。
早く、出たいと思った。


「お待たせしました」

表で壁にもたれ腕組みをして待っていたサンコンに声をかけると、「早かったですね」と歩き出す。


「どうかしましたか?」

サンコンにそう声を掛けられ、なんのことだろう?と少し考えてからやっと気が付いた。

……冷や汗がすごい。

あの威圧的な目を思い出すと、緊張が返ってくるようだった。


――…あの老人、八賀は一体何者なんだろう。




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