余所者-よそもの-
「ここが露天街が露天街と呼ばれる所以です」
公園を横切ると、小さな商店街のような場所に出た。
屋根がかかっているせいで薄暗く、湿っぽい。
「少し、黙ります」
そう言ってサンコンはアーケードを進んでいく。
いきなりの沈黙に戸惑いながら、私はサンコンの後ろをピヨピヨとついて歩き、広がる露店商たちを一瞥する。
冷たいコンクリートの上に段ボールを敷いて商いをする人々。
カラフルなレジャーシートの上に雑然と広げられる様々な商品。
ヤカンから古雑誌、メガネ、座椅子。帽子。
日用品を敷き詰めている人もいれば、シート一面にDVDを敷いた人も。
新しいものもあれば、ゴミと見分けがつかないほど使用感たっぷりなものだってある。
いや、目に映るほとんどの品がガラクタだ。
老人から私とさほど変わらない若い人まで、ひしめき合うようにガラクタを並べた通り。
商人同士談笑しているかと思えば、広げた品の前に布団を広げて寝ている人も居る。
ここは本当に日本?
今まで歩いてきたどの場所にも、こんな薄暗いところはなかった。
棒で突けば落ちてきそうなほど老朽化した天井が空を塞いでいて、息苦しい。
早くここを抜けたい。
そんな想いで先を見渡すと、
「……え?」
「カナコさん」
黙ると言ったサンコンが私を咎めるように呼んだ。
囁きほど声量を絞ったサンコンの声を、私はちゃんと聞いた。
聞こえてはいるんだけど。
「え……?」
道の端っこ、電信柱の裏。
地面には散った血があった。
視線を上げると、ぴちゃ、と新しい血液が飛んできた。
うう、だの。
ブッ、だの。
人を殴りつける音と、殴られる人のうめき声。